【入場曲編】入学式の演奏曲、選曲傾向を分析してみた【吹奏楽部】

suipedian

このサイトの企画、制作、保守全般を担当。 音楽略歴:トランペット10年、ピアノ2年 音楽やってる人を応援したい。

4月といえば入学式ですが、吹奏楽部員のみなさんは忙しくされていることでしょう。

それもそのはず、新入生の入退場に演奏で花を添えるからですね! 入場・退場のバックミュージックは雰囲気を作る役割があるためとても重要です。

今回は吹奏楽部だった人にやったことのある入場曲や「これが似合う!」という曲についてアンケートをとってみました。

その内容を踏まえ、おすすめの曲や選曲のポイント、また入学式で演奏することがいかに意義深いかをご紹介していきます。

退場曲編はこちら

入場曲選曲の3つの傾向

まず、どんな曲を選択するかですが、学校によって傾向が以下のように分かれました。

  • 厳かさを守るクラシック
  • 歩きやすさ重視の行進曲
  • 明るさを演出するPOP音楽

意外というか妥当というか・・・入学式は年に一度のみのイベントですし、校内イベントなので全国で同時多発的に行われてる中で、演奏曲目を相談しあうことはあまりないと思います。

BGMの選択によって入場時の雰囲気・印象はかなり変わります。 それぞれ元吹奏楽部員の想いと共にご紹介します。

厳かさを守るクラシック

クラシックでは、「雰囲気を重視した」や「代々演奏されてきたので演奏した」という声が目立ちました。

厳粛な雰囲気だけでなく、明るさも考えて選曲したようです。 ですが、クラシックを選曲した人の中には

■40代 女性 フルート
もっとポップス系もたくさんやりたいと生徒らで話していましたが、入学式には親御さんも来るのでクラシックなどの硬いものにしようと顧問に説得された記憶があります。
■30代 女性 クラリネット
私の学校はクラシックの演奏でした。ポップスなものもできればよかったのですが、先生の方針なのかきっちりした感じでした。

・・・という声があり、少し気の毒な感じもしました。 肝心の実際に演奏された曲は次の章でご紹介します。

歩きやすさ重視の行進曲

行進曲では新入生の行進に焦点を当てて選ばれていました。

入場の状況に合わせてフェードアウトさせやすかったという意見もあり、奏者・指揮者としても式の雰囲気を損じることなく式の流れに繋げられるようです。

中にはコンクール課題曲(マーチ)を選んでいた方もおり、コンクールに向けた練習の隙の無さを見せつけられました。

明るさを演出するPOP音楽

ここまでとは対照的にPOPミュージックでは当時流行っていた曲、曲調が明るく親しみを持てる曲、季節にあった曲のチョイスが目立ちました。

演奏する曲はその時々の流行に左右されますが、会場のみなさんが楽しめるという点ではとてもいいですね


選曲傾向にばらつきはあったものの多くに見られたのが『誰もが知っている曲にしよう』という選曲の意図です。クラシック、行進曲では王道どころ、POPミュージックではその時の流行に乗ったものが多いです。次の節では実際にこれらの曲をみていきましょう。

過去の選曲紹介【クラシック】

では、実際の選曲を見てみましょう。まずはクラシックから。

威風堂々(エドワード・エルガー)

威風堂々は文句なしに有名ですね。いつ聴いてもいい曲です。

■30代 女性 当時のパート:サックス
代々演奏されてきたので演奏しました。やっぱり新しい季節にふさわしい名曲だと思います!中間部だけを演奏したと思うのですが、厳かな雰囲気が入学式にぴったりです。

春(アントニオ・ヴィヴァルディ)

とても高貴で格式高い入学式を演出できますね。タイトルも入学式の時期にピッタリで新入生も穏やかに入場できそうです。気品の中にオシャレさもあり、誰もが耳を傾けるでしょう。

カノン(ヨハン・パッヘルベル)

洗練された美しいメロディです。入学式や卒業式、格調高さを演出したいときはこの曲がもってこいでしょう。

■20代 女性 当時のパート:クラリネット
入学式は新入生の緊張感やこれからの学生生活への期待と不安が入り混じっている厳かな雰囲気で始まるので、やはり入場曲はその雰囲気に合った厳かで、かつ明るい曲が望ましいと思っているので、クラシックであり、誰もが聴いたことのあるカノンは良いチョイスだったのではないかと思います。

マイスタージンガー前奏曲(リヒャルト・ワーグナー)

こちらも綺麗なメロディですね。曲の始まりはこれから始まる新しい学校生活、成長していく自分を想起させるのに一役買うこと請け合いです。

過去の選曲紹介【行進曲】

お次は行進曲です。

ラデツキー行進曲(ヨハン・シュトラウス1世)

有名な行進曲ですね。メロディもとても分かりやすいのでいいチョイスだと思います。

■30代 女性 当時のパート:トランペット
行進曲というだけあって入場するときに行進しやすいです。入場の状況に合わせてフェードアウトさせやすい曲だったと思います。ただ何度も繰り返して演奏するのでとても疲れた記憶があります。

美中の美(ジョン・フィリップ・スーザ)

軽快で元気いっぱいの行進曲です。若干テンポが早めの曲なのでしょうか。状況に合わせて設定すればいいと思います。

海兵隊(James M. Fulton)

こちらも耳なじみのいいメロディです。アニメ『響け!ユーフォニアム』でも取り上げられたので知っている方も多いでしょう。

祝典行進曲(團伊 玖磨)

祝典感ハンパないですね。

■20代 女性 当時のパート:パーカッション
入場曲、退場曲ともに團伊玖磨さんの祝典行進曲でした。定番で毎年この曲を演奏していました。スネアドラムのリズムが難しく印象的な曲なので、練習がすごく大変でしたが、この曲がとても好きで、練習を頑張りました。その頃のことを、今でも聞くと思い出します。

旧友(カール・タイケ)

「行進曲と言えばこれ!」と言っても差し支えないでしょう。元気ハツラツとしてて新入生の行進にもぴったりです。ただ、この曲は運動会/体育祭までとっておいてもいいと思います。

これらの他にもその年その年の課題曲もありました。

過去の選曲紹介【POPミュージック】

最後にPOPミュージックです。

花(ORANGE RANGE)

今の中高生はピンとこないかもしれませんが、オレンジレンジの花です。映画『いま、会いにゆきます』の主題歌として使われました。

■20代 女性 当時のパート:クラリネット
当時の流行りの曲で、親しみやすさが出てよかったのではないかと思います。曲によっては歌詞が少し寂しいものもありましたが、曲調だけで入学式として相応しいものを選べるのも、吹奏楽曲としての魅力だと思うので、曲調の穏やかさや明るさで選べてよかったです。

さくらんぼ(大塚愛)

この曲も当時大人気でした。全国の吹奏楽部がこぞって演奏したと思います。流行っていた上に、メロディもキャッチ―だったのでウケが良かったです。

「あーたし、さくらんぼ~♪」ですね。今やるとしたら新入生より保護者にウケると思います。 曲を知らないという方は本人のPVもどうぞ。
→youtube

世界に一つだけの花(SMAP)

この曲は結構大々的に流行りました。曲の内容的にもぴったりだと思います。


以上です。

曲によって、人によって感想は様々だと思います。お硬いものから可愛いものまで、いろいろです。参考にしてみてください。

これが似合う!という曲

やったことはないけど、これが入場曲にぴったりなんじゃないか、という曲のアンケートもとってみました。

その一部を紹介します。参考にしてください。

戴冠行進曲「王冠」(ウィリアム・ウォルトン)

オーケストラ曲の美しい行進曲です。 同作曲者の戴冠式行進曲「宝玉と王の杖」もオススメです。

アルセナール(ヤン・ヴァン・デル・ロースト)

■40代 女性 当時のパート:フルート
比較的新しい曲のようですが、娘が今現役で吹奏楽をやっていますが、【アルセナール】というマーチがそんなに難易度も高くなく、美しくおごそかな雰囲気の入学式にピッタリのマーチです。

アルセナールは地味に難しい箇所もありますが、いい曲ですね。

ハピネス(AI)

■30代 女性 当時のパート:クラリネット
前向きになれるような曲なので、流れていたらいいなと思います。名前の通り、幸せがテーマで笑いあう事で幸せがというような曲なので、これから新しい生活を迎える入学式にはピッタリかなと思います。

この動画音楽の編曲者は2018年度課題曲Ⅳの作曲者です。

その他

動画を載せての紹介は省きますが、他には

  • ピッツバーグ序曲
  • Joy!!(SMAP)
  • ワイルドアットハート(嵐)
  • 大学祝典序曲(ブラームス)
  • G線上のアリア
  • A New Day(ポルノグラフィティ)
  • じょいふる(いきものがかり)

などがありました。

演奏時の工夫や心がけについて

選曲傾向や曲についてはここまでの通りですが、「工夫してます」という意見がありました。

入場の演奏で出来る工夫

入場式の演奏時間は新入生の人数、つまり入場にかかる時間に依存します。

会場のみなさんや早くに入場した新入生は同じ音楽をずっと聴かされて退屈になるんじゃないか、という考えのもと、複数曲を用意しておいて順番に演奏したという方がいました。

私自身は同じ曲の繰り返しただったので新鮮でした。

ただ、同じ曲のリピートなら練習範囲は狭くなる、お客さんのことを考え複数曲を練習すると練習範囲は広くなる=練習に時間がかかる・・・なので、どちらも一長一短ですね。

入場演奏の心構えについて

入学式の音楽を吹奏楽部の生演奏で行うという演出をどう思いますか?という質問をしてみました。

すると、

  • スピーカーから流れる音楽ではなく生の演奏でイベントが進むのはとても素敵
  • 演奏や奏者、楽器がキラキラしていて憧れをいだいた。
  • 自分の入退場時に上手な演奏をされると豪華な気分で嬉しかった
  • 生の演奏は心に響いて、じんわりと温かみがある
  • 演奏の臨場感・一体感に圧倒された
  • 曲を聴いているうちに「新しい自分のステージが開かれた」と思えた
  • 生の演奏を間近で見る、というのが初めてだったのでとても感動した
  • 入学をお祝いしてくれているという感覚がもてた
  • ちゃんと歓迎してもらえているんだな、と嬉しくなった

などがありました。どうも我々吹奏楽部員が思っている以上に好評みたいです。入学式は1年の中では一瞬のことなので改めて感想を確認する機会はあまりないですが、こうして知ることができて良かったです。

部員の中には数ある本番のうちのひとつでしかないという認識の方もいるかもしれませんが、シチュエーションも手伝いお客さんはとても感動されます。

部活の宣伝効果もありますし、事実入学式の演奏をみて入部を決意する/積極的になる人もいます。

学校によっては入学式が終わった後も中庭で演奏をしていた、というところもあり緊張している新入生に楽しい印象を与えたり、気持ちをほぐしてもらうのにはとてもいいと思います。

次の入学式では是非やってみられてはどうでしょうか。

おわりに

入学式の入場曲についてでした。

いかがでしたでしょうか。伝統がずーっと受け継がれていたり、毎年流行に合わせて曲を替えていたり、様々だと思います。

何よりも新入生に楽しんでもらえるように、歓迎している気持ちが伝わるように選びたいですね。

そして素敵な演奏で迎え入れてあげてください。

ありがとうございました。

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