ホルンの基礎練習のやり方・メニュー

神山 亜季

国立音楽大学卒業。これまで演奏会、音楽教室の講師、ママブラス等多方面で活躍。二児の母。

ホルンの皆さんこんにちは!

基礎練習、毎日同じことの繰り返しで、これでいいのかな?と悩んでいませんか? 今回は、基礎練習をやる意味、重要性、オススメのメニューについて紹介します。

それでは早速見ていきましょう!

基礎練習を始める前に準備するもの

基礎練習の前に、

  • チューナー
  • メトロノーム

を用意して下さい。

基礎練習をする際、正確なピッチ(音程)と正確なテンポで練習することはとても重要です。

マウスピースを使ったウォーミングアップ

楽器をつける前にマウスピースを使ってウォーミングアップをします。唇を振動させようと思わず息をマウスピースに通し、唇が息によって勝手に振動するのを待ちます。

リラックスした状態で自然な息を楽器に送ることが目的ですので、楽器をつける前にマウスピースで練習することは重要です。
マウスピースで練習をする意味は大きく分けて2つあります。

  1. 音をイメージして発音するトレーニング
  2. 唇の柔軟性を養うトレーニング

です。マウスピースで音階を吹くには、頭でイメージした音を唇の振動に換える必要があります。

これがとても難しい技で、その日の体調に左右されるものでもあります。ホルンはマウスピースが小さく、管がとても長いため、例えば0の指でこんなに音が出ます。(0の指…指をいずれも押さないこと、これを開放と言います。)

こんなに音が出ると言うことは…

そうです。ホルンパートはよく言われますよね、『音をはずすなー!』 と。しかし、このように、同じ運指(上の譜例では0の指(開放))でこんなにもたくさんの音が出るのですから、音を外さずに演奏するのは難しいことです。

倍音列を見てみると、五線譜上で隣合う音がとても近い訳ですから、より繊細なコントロールが求められます。

そのため、もっともっと正確な演奏ができるように音をイメージして発音する訓練を大切にしましょう。

上のことに繋がりますが、頭でイメージした音を出そうとすると唇の周りの筋肉が自然と準備をします。ド(F)の音にはド(F)に合った唇の緊張、ソ(C)の音にはソ(C)に合った唇の緊張、と筋肉も変化します。

その微妙な変化を操り、上手く対応できるようになるのが、唇の柔軟性(フレキシビリティ)です。この事を意識しながらマウスピースをならしてみましょう♪



マウスピースの持ち方

利き手ではない方の手の人差し指と親指で持ちましょう。

利き手ではない手で持つことで、余計な力がかからないようにするためです。(全く圧力をかけてはいけないと言う事ではありません。)

基本中の基本『音の形』

後続する基礎練習の解説の大前提となる話です。

下の画像は理想的な音の形を図にしたものです。

アタック

音の出だしのことです。音を出すには必ずタンギングが必要です。

※詳しくはタンギングの項で説明します。

(ノータンギング(タンギングしないでアタックすること)の技法を使う時は例外)

コア

音の中身、伸ばしている音のことです。

※ロングトーンの章で少しふれます。

リリース

音の終わりのことです。

プツリと音の終わりが切れずに、余韻を残す事ができるかが意外と難しいです。 イメージとしては音の最後に『N(ン)』をつける様な感じで音を作ります。

基礎練習は正しい音形、良い音でやってこそ、成果が出ます。基本的な良い音の形をイメージして取り組みましょう。

ホルンの要『リップスラー』

金管楽器の要!リップスラーです!

リップスラーとは運指を変えずに、タンギングもせずに、違う音に滑らかに移り変わることを言います。息づかい(ブレスコントロール)や、唇の筋肉の変化、舌の位置の変化で音をコントロールします。

リップスラーを練習すると、唇や顎、舌の柔軟性を得られ、低音から高音までスムーズに演奏できるようになります。唇、顎、舌が柔軟であることはとても重要なことで、ここがガチガチに固まっていると息も通りませんし、力一杯息を通したとしても、色々なところに余計な力が入った状態ですので、自由も利かず、滑らかな音も吹けませんし、高音域も吹けません!

まず、楽器が上手くなりたい方はリップスラーを一生懸命練習してください。 上の楽譜のように、中音域からどんどん音を広げていきましょう。

メトロノームをつけて、ゆっくりと(4分音符=60)次の音に移りやすいテンポで練習してください。 最初のうちは、4小節吹いて、1小節間休みを入れても構いません。

リップスラーは速さを競うものではありません。いかに滑らかに次の音に進めるかを極める練習をしてください!

なぜリップスラーが必要なのか

昔々、バルブやピストンの無い時代の金管楽器は唇の振動の変化で倍音をコントロールしていました。

現代の楽器のようにバルブが付いていても、結局バルブは補助的なもので、リップスラーが根底になければ、ホルンに限らず、金管楽器は吹けません。
(バルブ、ピストンとは、金管楽器の息の通り道を制御する仕組みの事です。バルブはホルンやチューバなどに採用されている仕組みで、ピストンはトランペットやユーフォニアムなどに採用されている仕組みです。)

リップスラーの練習で意識すること

  1. アンブシュア(口の形)を著しく変えない!
  2. 息のスピード、方向、量をよく観察する!

文章にするととても難しい表現ですが、音の高さが変わるにつれてアンブシュアも息のスピードも変化します。

よく、『アンブシュアを変えないで吹きなさい』と言う指導を受けた事がある学生さんに出会います。

アンブシュアを変えないで演奏することはまず不可能ですし、それでは、音域も変化しません。だからといって、アンブシュアを著しくずらしたり口の形を曲げたりということは絶対にしてはいけません。

その事を頭の隅において練習するといいと思います。

音が高くなるにつれて息のスピードはあがります。逆に音が低くなるにつれて息のスピードはゆっくりになります。しかし、必ずしも、息の量を減らしたり、増やしたりすることが=(イコール)ではありません。

頭がこんがらがってきましたね…

まずは考えるより、吹いてみて音が変わると息のスピード、量はどうなっているのかじっくり観察しながら練習しましょう!

ロングトーン

ロングトーンとは、一定の音程を保ったまま音をまっすぐに伸ばす演奏法です。
ロングトーンを決められた楽譜、テンポでやる場合、先に説明した基本的な音の形を意識して練習しましょう。アタック、コア、リリースです。

コアについてですが、音の密度は濃く、そして、まっすぐな中身になるよう意識しましょう!

『音がゆらゆらしている』『音が散っている』このような音にならないよう注意してください。

また、ロングトーンの目的について明確にしましょう。ロングトーンは何のためにやっていますか?音を長く伸ばすため?息を長く出す練習?それらも、間違いではないと思います。

しかし、ロングトーンの本来の目的は、

自分の音色をつくることです。 上の楽譜のように強弱をつけながら、自分のタイミングでロングトーンをしてみましょう。

メトロノームとにらめっこして拍数どおり吹ききる練習も大事ですが、まずはメトロノームも使わずに、自分の音に耳を澄まし、自分の楽器の一番いい音を鳴らしてみましょう。

タンギング

タンギングとは、舌を使って空気の流れを止め、音の区切りや立ち上がりを明瞭にする奏法のことです。管楽器を演奏する上で無くてはならない基本的な技術です。

タンギングは舌を突くイメージではなく、舌を離すイメージを持ちましょう。

息の圧力を、舌がダムのようにせき止めています。その舌を離すと同時に、息が勢いよく流れ出す。と言うようなイメージを持ってください。 4分音符=100くらいで吹いてみましょう。

舌の位置は上の歯の付け根辺りです。 あくまでも目安ですので、楽な舌の位置を見つけてみてください。

舌の力を抜きましょう。力が入っていると『早いタンギングができなかったり』『破裂音になったりする』原因となります。

息はずっと流し続けます。そして、舌の動きだけでその流れを止め、音を区切ります。

タンギングの練習には必ずメトロノームが必要です。これは訓練のようにメトロノームとにらめっこで練習しましょう!

ダブルタンギング、トリプルタンギングについても身に付けておくと演奏の幅が広がります。
※ダブルタンギング、トリプルタンギングは普通のタンギング(シングルタンギング)ができている事が前提です。まずはシングルタンギングを綺麗にできるようにしましょう! ダブルタンギング→発音(トゥク) tuku tuku tuku tuku
速いテンポの16分音符を演奏する際に役に立つ奏法です。

トリプルタンギング→発音(トゥトゥク) tutuku tutuku tutuku 又は、(トゥクトゥ)tukutu tukutu tukutu
速いテンポの3連符を演奏する際に役立つ奏法です。

上記の発音通り楽器を鳴らしてみてください。すると、音の鳴りが均一でなくなったり、テンポがバラけてしまったりしませんか?

そうなった方は、K(ク) の発音の時はハッキリ発音するようにしてみてください。そうすることで、より美しいタンギングになります。

スケール

スケールとは音の高低を昇順または降順に並べた音階のことです。
ピアノなどで『ドレミファソラシド』と弾いてみましょう。明るい響きがしますね!これを長音階(メジャースケール)と言います。
次に『ラシドレミファソラ』と弾いてみましょう。どこか暗い感じがしますね。 これを短音階(マイナースケール)と言います。

スケールの練習をする目的は主に2つです。

  • 調性の感覚を身につける。
  • 上から下まで全ての音、息を均一にする。

24個の調性全てに挑戦しましょう。そうすることで、全ての調性が身に付き、移調に対応できるようになります。

上の楽譜はヘ長調(F-dur)イ短調(a-moll)です。

移調…曲を他の調子に移して演奏すること。

以下、ピアノで実際に出る音(実音)で説明します。ホルンはF管の楽器なので五線譜上の「ド(C)」の音を吹くときに、実音の「ファ(F)」の音を鳴らします。

楽譜にinEsと記してある場合五線譜上の「ド(C)」の音は実音の「ミ♭(Es)」を吹く必要があります。同じように、inDと記してある場合は五線譜上の「ド(C)」は実音の「レ(D)」を吹きます。

練習メニュー例

基礎練の練習時間30分の場合

  • リップスラー 15分
  • タンギング 5分
  • その他10分(スケール、半音階、ロングトーン 等)

上記はあくまでも、一例です。

リップスラーは一番といっていいほど大事な基礎練習ですので、割合を多めにやるといいでしょう。タンギングやロングトーンは体の負担になるので、練習時間を短めにとることをオススメします。

時間がないときは、リップスラーの他にスケールのバリエーションをスラーやタンギングにしながら練習するのも効果的です。

おわりに

いかがでしたか?

吹奏楽においてのホルンの役割は、絵画で言う『背景、色づけ』です。吹奏楽においては主役になることが滅多に無いですが、どの曲においても必ずパートでハーモニーを奏でる場面が有ります。楽譜だけ見ると地味なロングトーンであったりしますが、バンド全体に『色』をつける大事な役割を担っています。

その他の特徴としては、グリッサンド( 2つの異なる音を区切ることなく、滑らかに上げ下げする演奏技法 )や、ゲシュトップ奏法(ベルの中に右手を入れ、その入れ加減によって音程を変える奏法)を指示される場面がでてきます。

そして、ホルンはベルが後ろに向いています。ベルが前を向いているトランペットとベルが後ろを向いているホルン…同じタイミングで演奏すると客席に届く音のタイミングはバラバラです。
そこで、舞台上で演奏するときの注意です。

演奏会ホールの舞台後部には反響板と言う、音を反射させて効果的に響かせる板があります。(ホールによって違いますが、壁全体が反響板になっていたり、反響パネルを設置したりします。)その反響板に音を反射させて客席まで届けるイメージで演奏をします。

その時に、

自分のベル(音の出口)が反響板に当たる位置にあるか。

を確かめます。構えたベルの先に穴が開いていたり、カーテンの様なものがあったりすると、音が吸収されてしまい、客席まで響かせることができません。

ベルが後ろを向いているホルンにとってもうひとつ大切なことは、音を出すタイミングです。

ベルが後ろを向いている分、早く音を出さなければなりません。これが非常に難しく、実践あるのみなのですが、イメージで言うと運動会の『よーいドンッ!』でタイミングよく出たのがトランペット、フライングしたのがホルンです。

反響板の使い方、タイミングを上手く研究して、バンド全体の縁の下の力持ちになりましょう!

基礎練習には『必ず』がありません。自分のコンディション、ペースと向き合って自分のオリジナルの基礎練習を考えて練習してみてください!

神山 亜季

国立音楽大学卒業。これまで演奏会、音楽教室の講師、ママブラス等多方面で活躍。二児の母。

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コメント:2件

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No.1いち
細かく書いてくださってありがたいです♪
ありがとうございます!! 2019/02/11(月) 00:20:22
No.2神山 亜季
こちらこそ、読んでくださってありがとうございます。
分かりにくい表現などありましたら、お気軽にご質問ください(^^)
コメントありがとうございました! 2019/02/11(月) 22:20:05
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