吹奏楽コンクールに向けて演奏の質を効率的に上げる3つの練習法


suipedian
このサイトの企画、制作、保守全般を担当。 音楽略歴:トランペット10年、ピアノ2年 音楽やってる人を応援したい。
毎年恒例、夏の吹奏楽コンクールに出場される人の中には、
「どんな練習をすればいい演奏ができるだろうか」
「いつも7月半ばにはどうすればいいかわからなくなってしまう・・・」
という方も少なくないと思います。
吹奏楽コンクールは取り組む曲は2曲(もしくは1曲)ですが、時間は膨大にありますから、それらに対してどんなアプローチをすれば長く付き合い、よい練習が行えるのかを知っておくことはコンクールを悔いなく終えるために大切です。
このページではその方法を3つご紹介します☆
フルスコアで曲を隅々まで理解しよう
フルスコアとは総譜(そうふ)と呼ばれるもので楽曲のすべてのパートがまとめて書かれている楽譜のことです。
合奏で指導する人は主にこれを見て全パートの動きを把握します。

フルスコアよりも簡素にまとめたコンデンススコアというものもあります。
このフルスコアは基本的には合奏や楽曲の研究をする際に指揮者の方が読むものですが、もちろん指揮者以外の人が読んではいけないという決まりはありません。
曲をよく知ることはいい演奏をすることに繋がります。
フルスコアを利用することで受けられる恩恵について次に説明しましょう。
セクションやフレーズによる演奏法を考えられる
自身のパート譜だけを見ていると
- ・ほかにどのパートが一緒に吹いているか?
- ・これはメロディなのか?裏メロ(対旋律)なのか?
- ・このロングトーンを吹いている間メロディを担当しているのはどのパート?
- ・譜面上では音量の指定はどうなってるの?
ということがわかりません。
もちろん原曲を聴けば一発でわかる情報もありますが、フルスコアを見てみれば耳からだけではわかりにくい情報をたくさん知ることができます。
自分の立ち位置によって各フレーズの演奏法は大きく変わってきます。
例えばトランペットを例にした場合・・・
トロンボーンと一緒にファンファーレやメロディを吹く場合は金管特有の輝かしさや轟轟とした響き、凛然たる様子の表現が求められます。
一方、ホルンや木管楽器と共に演奏する場合は、柔らかな音色に寄り添う脇役としての音色が必要とされることもありますし、他パートだけでは歯切れやパンチが弱い場合に音色の輪郭付けをするような役割を担うこともあります。
セクションやフレーズごとによるこれらの違いを分かっているだけで息遣いや演奏時の気概は大きく変わってきます。
このような意識付けが自分にできることからフルスコアを読み、自分に関連があるところだけでも他パートとの絡みや全体像を把握することには意味があります。

こういうことが習慣づけられるとM8やwindsSCOREなどの楽譜を吹くときも楽しさが倍増しますっ
曲を知ることで愛着が湧き、今後出会う曲にも活かせる
演奏する曲のことをよく知っているということは愛着が湧くことになりますし、ここで得た知識はコンクールの練習だけでなく今後出会っていく新しい楽曲への理解を深めるきっかけにもなります。
例えば料理を例とした場合、この食材には○○という栄養があり体にはこういう風に作用する、さらにこの食材と食べ合わせると効果的、味も引き出される。。。などということを知っていると料理や食事の楽しみは増幅されます。
ただ食材から料理を作るだけに止まりません。そういう知識を誰かに披露することもできるでしょう。
これと同じように、フルスコアを読み、各場面ごとの意味合いやパートごとの役割、メロディのパート間のバトンパスの構造、編成の変化による聴き手への印象付けなどがわかっていると取り組んでいる曲の全容が手に取るようにわかります。
ただ演奏するだけに止まらず、他団体の演奏を聴く際にも音楽を咀嚼する助けになります。
恋愛や仕事では、相手のことをよく知っていればより高度なサービスや付き合いができます。
音楽も同様で楽曲のことをよく知っていれば知っているほど魅力的な演奏をお客さんに届けられます。自身がより楽しむことにもなります。

恋愛の充実度と音楽の充実度はイコールなのさ。

ちがくない?
他パートの練習もできる = 他パートの指導もできる
団体によってはパートごとの技術バランスが結構ガタガタなところもあるかと思います。
その場合、技術面で遅れているパートは優れた指導者がいない限り、自分たちで上達していくのは難しいという状況に置かれがちです。
他パートの人間も「パートが違うから教えられない」と思っていると事態は進展しません。
しかし、その思い込みは捨てることができます! 楽器の構造や音色は違えど演奏時のニュアンスを教えることは他パートの人間でも可能です。
ですから、フルスコアを使って自分以外のパートについても(余裕があれば)練習しておくというのは合奏のクオリティを上げるために効果を発揮できる行為なんです。
少し余裕があれば他パートの指導に回るためにさらってみるのがオススメです。 あとは副次的要素として単純に他パートの練習をするのは楽しい、というのもありますね。
コンクールまでの長い練習期間では課題曲・自由曲の2曲だけでは飽きてしまう、というのはもはや コンクールあるある です。
- ・まだまだ練習の必要はあるけれどたまには気分転換をしたい
- ・自分のパートばかりなぞり続けるのは精神的に不衛生だ
というときに他パートの楽譜を吹いてみるのはなかなか楽しいものがあります。
一度限りのコンクールですから自パートだけでなく、本当の意味でその曲を隅々まで味わってみてはいかがでしょう。気分転換にもなりますし^^

他パートのソロを吹くの、楽しいわよ。

いっそ本人より上手に吹いて奪っちゃうか。。。
以上がフルスコアを活用するメリットです。
吹奏楽コンクールへ向けた練習といえば楽器をもってる時間がメインとお考えの方もいるかもしれませんが、楽器を持ってない時間にできることもとても重要で演奏時の助けになります。
フルスコアとにらめっこしながら曲の研究をしてみて下さい(`・ω・´)ゞ
課題曲、自由曲どちらもフルスコアをじっくり読み込んでいい演奏ができるとベストですが、時間や予算の都合で両方入手することが難しかったらせめて課題曲だけでも購入をおススメします。
フルスコアに対し敷居の高さを感じている方もいるでしょうけれど、あれは誰でも簡単に手に入れられます。

課題曲のフルスコアは年によって若干違いますが、ここ数年は概ね1000円強です!!(2018年時点)
セクション単位の練習を取り入れよう
まず、セクションとは音楽では楽器グループのひとまとまりのことを言います。
「ブラス・セクション」や「リズム・セクション」など一言で中身のパートが理解できる便利な言葉も用意されていますが、曲中でサックス・クラリネット・ホルンが同じメロディを吹くようなことがあればそれも一つのセクションです。
楽器の特性的に同じグループにカテゴライズされないとダメということはありません。
先ほどのフルスコアの話に通じますが、自分と同じメロディを吹いているパートが分かれば次は一緒に練習をしてみましょう。
それがタイトルにあるセクション単位の練習になります。
これはもちろんコンサートや普段の練習曲でもできるといいのですが、本番までの時間や人的な都合で出来ないことも多々あろうかと思います。
しかし、コンクールでしたらまだ時間をかけられますし、スクールバンドなら夏休みもあります。

セクション練習を取り入れると普段一緒に練習しない人ともできるから楽しいんです♪
ですので、通常なら
個人 > パート > 合奏
という段階を踏んで曲を仕上げていくことになりますが、
個人 > パート > セクション > 合奏
という風に合奏の前にさらに演奏が洗練されるようにワンクッション挟んでみましょう。 バンドによっては合奏の場で指揮者が全ての交通整理を取り仕切る、というスタイルの団体もあるでしょう。
けれど、奏者一人一人が考えて合奏という場でそれぞれが披露されてぶつかり合ったところから指揮者が整理していく方が音楽が形になっていく様がおもしろいと思います。
フルスコアの話もそうでしたが、奏者一人一人が曲や吹き方についてよく考えて取り組む、というのが効率的にかつ楽しんで本番までの日々を過ごすポイントになります。
録音機を駆使して演奏を振り返ろう
最後は録音機のお話です。
録音機はその名の通り、演奏を振り返るのにもってこいのアイテムです。
録音して再度聴き返すようにし、合奏やパート、個人練習での自身の演奏を客観的に聴く習慣を付けましょう。
全国のスクールバンドの中には毎日先輩や先生に言われる通りに演奏し、指導の通りに改善し、自分たちの演奏を改めて聴くのはコンクール本番が終わった後が初めて、なんてこともあるかもしれません。
しかし、それは極めて危険でもったいないことです。
自分が大切な人に料理を振る舞うとき、一度も味見をせずに出すでしょうか。
ダイエットを始めたとき、完全にやせきった!と思うまで体重計を見ないなんてことがあるでしょうか。
ダイエットのモチベーションを保てるのは日々の自分の努力の成果を数値で確認できるからです。
筋トレが続くのも日に日についてくる筋肉を視覚から確認できるからです。
ですので、自分たちの演奏を先輩や先生の指導に丸投げすることは辞めて、今、完成系の演奏にどれくらい近づいているのかを自分の耳でしっかりと確認する癖をつけましょう。
そのためには録音機というアイテムは絶対に欠かせません。
部費で購入し、コンクールに限らず日々の練習のあらゆる場面で使うようにしてみましょう。
実際、録音して聴いてみると自分では優雅に吹いているつもりがなぜか幼稚に聴こえたり、音色が曲調に合ってない・・・!という気付きがあったりします。
自分たちの演奏は責任をもって自分たちで育てていく意識があれば本番で舞台から放たれる演奏はより魅力的で素敵なものになります。
おわりに
コンクールに向けて演奏の質を効率的にあげる3つの方法でした。
コンクールに限った話ではないですが、時間や割けられるエネルギーの兼ね合いを考えるとコンクールが最も最適かと思います。次いでアンサンブルでしょうか。
上述したものの中で一つでも興味を持ったものがありましたら是非実践してみてください!
そこでもしもうまくいかない、しっくりこないということがあったとしてもそれを実践したからこそ見える景色があるはずです。
そこで新たな練習法を考え、軌道修正を繰り返していけばあなたの団体の演奏は必ず光を帯びてくるようになります。
素敵な演奏で審査員及びすべてのお客さんを唸らせるためにも全力の努力をしてみてください。
ありがとうございました。

suipedian
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コメント (3件)感想、指摘系はここに。相談は掲示板に。
コンクールに向けてどう思っているかというのがあるんですけどなんて言えばいいですか? 2018/07/21(土) 21:30:01
すみません。。。ちょっと質問の内容がよくわからないです汗
もう少し砕いていただけると助かります。
よろしくお願いします( `ー´)ノ 2018/07/21(土) 22:42:22
表現をもっと大げさにつけさせたいのですかどうすればいいですか? 2022/07/16(土) 10:19:04