2019年度吹奏楽コンクール課題曲スコア再送は適切だったか

suipedian

このサイトの企画、制作、保守全般を担当。 音楽略歴:トランペット10年、ピアノ2年 音楽やってる人を応援したい。

みなさん、こんにちは。

2019年に入りはや2カ月強が経ちますが、今年も例年通り1月末から課題曲の発送作業が全日本吹奏楽連盟により行われました。

各地で楽曲の解説イベントが行われていますし、さっそくコンサートの演奏プログラムに組み込んだ団体もあるでしょう。

そんな中、一度届いたはずのフルスコアが前出の組織より再度送られてきました。過去10年以上フルスコアを注文してきましたがこんなことは初めてです。

議論の余地もありそうですので、一体何があったのかご紹介します。

課題曲Ⅱの作曲者コメントに不適切文言

まずは何があったのかをご紹介しますね。

私の場合、最初のフルスコアは1月末頃に届きましたが、差し替え分は3月7日(木)に届きました。

内容はフルスコア1点と封筒が同封されていました。封筒内の書面から少し引用します。

(略)

さて、この度ご購入いただきました、2019年度全日本吹奏楽コンクール 課題曲Ⅱマーチ「エイプリル・フール」のフルスコアに記載されている、作曲者からのコメントの中に不適切な文言が含まれていました。誠に申し訳ございませんでした。

課題曲Ⅱ(5曲まとまったもの、単独のもの)のスコアを作り直して、同封いたしました。ご査収のほどよろしくお願い申し上げます。

(略)

不適切な文言が含まれていたそうです。次にその内容をご紹介します。

修正前後の作曲者コメントを比較

まずは修正前の作曲者コメントです。

 2017年4月に作曲。この作品のテーマは「お洒落」と「色気」です。第1マーチの旋律に現れる装飾音は、少しエロっぽい(?)演奏が望ましいです。ですが、それを大げさにやると色気が薄れ、台無しになってしまいますので、そういった自然な流れとお洒落さと曲全体の雰囲気を大切にしていただけるとありがたいです。

 全体的に難易度はそこまで高くはないので、奏者1人1人がファッションモデルになった気持ちでこの作品を演奏すれば、曲の雰囲気もサウンドもきっとお洒落になると思います。

 では、楽しい演奏を期待しています。

次に差し替え後です。

 この作品は4月1日(エイプリル・フール)に福島から実家の神奈川に帰るバスの中でふと、「エイプリル・リーフ」というタイトルを思いつき、それに合わせてメロディーもお洒落で親しみやすいものを目指しました。

 Aからの装飾音符は力まずに滑らかに演奏してください。その後の8分休符の前の8分音符は切りすぎないような自然な感じが望ましいです。Cは勇ましく、その後のDからは場面を変えるようにメリハリをつけてください。Lのmpからfにかけて、徐々に気持ちが高まってくるような演奏に期待します。

 全体的に所々転調しますが、その転調や和音の変化を感じ取っていただけたらありがたいです。

 では、素晴らしい演奏を楽しみにしています。

連盟側が再送の対応

・・・というわけで、上記のようなことがあり、課題曲の差し替え版が送られてきました。ちなみに公式サイトを見てみてもこの件に関して今のところ(2019/3/102019/4/29時点)通知はありません。

どれほどの量この対応がいるのかは分かりませんが、全国の団体から課題曲の注文があり、またそれ以外にも私のような趣味レベルで吹奏楽とかかわる層からの注文も考えると相当なコストがかかると思われます。

今回の件、みなさまはどうお感じでしょうか。どこかから苦情や批判があったのでしょうけれど、おそらく不適切と判断された文言は

装飾音は、少しエロっぽい(?)演奏が望ましい

奏者1人1人がファッションモデルになった気持ちで

辺りだと思います。あくまで私の推測ですが。

昨今、一部の人間による批判によって企業側が謝罪したり対応を余儀なくされる状況をよく目にします。そのたびにSNS上を中心として賛否が巻き起こりますが・・・今回は吹奏楽の番だったんですかね。。

今回の出来事をどのように捉えますか

私個人的には上記程度の文言は

アリかなぁ・・・

と思っています。確かに「エロっぽい(?)演奏」という言い回しは露骨な表現ではあります。それなら「色っぽく」とか「艶めかしく」とかに変えて少しオブラートに包んであげることもできます。

このマーチ「エイプリル・リーフ」の作曲者は1993年生まれです。なにが言いたいかってまだまだ若いということですね。

いろんな音楽に触れているとエロティックな表現がふさわしい時もありますし、奏者1人1人の美意識を前面に出していきたいときもあるでしょう。

演奏に関する要望、希望をどんな言葉で伝えるかは確かに大切です。ただ今回、作曲者である近藤悠介さんが今の自分の言葉で紡いだ文章に特段誤りはなかったと感じます。

課題曲の公募に際し作られたのは主に曲ですが、そこに付随する言葉や振る舞いなんかも表現者の表現活動の一部と捉えると、一部の人間の声によってそれがかき消されるのは大変残念に思いました。

ただもちろん読み手側にも意見を言う権利はありますから、それが連盟に届けられたこと自体は否定しません。

最も驚いたのが楽曲の中身ではない部分の修正でスコアの刷り直しが行われた点です。過去にも出版以降に誤植が発覚することはありましたが、公式サイトで通知される程度でした。

まぁ連盟の立場としてあの文言を肯定していないという姿勢を見せる必要があったのでしょう。

twitter等のSNSでこのような出来事が話題に上がっても早くに風化していくと思います。それくらい日本や世界での出来事を俯瞰してみると日常レベルの事ですからね、今の時代。

それでも、吹奏楽にかかわる多くの人がこの出来事を一度考えてみて、これからの吹奏楽界が適切に成長・発展することを願ってやみません。

おわりに

異例の出来事でつい記事にしてしまいました。

マーチ「エイプリル・リーフ」いい曲だと思います。前半の主題の装飾音符はねっとりと艶めかしく吹きたいですね。

ありがとうございました。

suipedian

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コメント:2件

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No.1ばすくらりねっと(♡)
課題曲Ⅱの作曲者コメントに不適切文言の所が「マーチ・エイプリルフール」になってます、、、(´・ω・`)
いやよく間違えますけどね(´・ω・`) 2019/03/18(月) 20:52:38
No.2suipedian
>>ばすくらりねっと(♡) さん
コメントありがとうございます。探したんですが、見つかりませんでした(;´Д`) 2019/05/02(木) 15:08:21
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