2019年度吹奏楽コンクール課題曲決定!各曲と作曲者を紹介します。

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このサイトの企画、制作、保守全般を担当。 音楽略歴:トランペット10年、ピアノ2年 音楽やってる人を応援したい。

2018年7月11日に全日本吹奏楽連盟のホームページで2019年度の課題曲が発表されました。

さらに、同年12月14日には会報吹奏楽が掲載され、各作曲者からの挨拶も発表されました。

2019年1月8日に課題曲の一部が連盟サイトで試聴ができるようになった今、あとは1月末の販売を待つのみです。

この記事では各曲の内容や作曲者の紹介し、作曲者からの挨拶も引用しつつ、楽曲と触れ合う期待値を高めようと思います。

Ⅰ.「あんたがたどこさ」の主題による幻想曲  林 大地

2019年度の朝日作曲賞に選ばれた作品です。ちなみに昨年の受賞曲は塩見康史氏の「古き森の戦記」ですが、雰囲気も曲調もガラッと変化しましたね。

古典民謡である「あんたがたどこさ」を幻想曲として仕上げたということで、親しみやすいメロディの中にある意外性や壮大な風景を感じるアレンジは個人・パート間のアンサンブル力や拍子の変化に柔軟に対応する技術が求められそうです。

冒頭1分の試聴を聴くと残りの展開がとても気になりますね。すっごく演奏が楽しそうだと思いました。

作曲者:林 大地氏について

最近のツイートです。

埼玉県の川越奏和奏友会吹奏楽団に所属しており、このバンドは昨年(2018年)コンクールの全国大会で金賞を受賞しました。

なかなか質の高い音楽に日ごろから触れているのかな、という感じがしますね。

会報吹奏楽209号には挨拶も掲載されていますので、ご紹介しましょう。

  • 課題曲公募の要件「親しみやすい旋律」に注意し、通算6回目の応募でした。
  • 過去の課題曲「吹奏楽のための綺想曲「じゅげむ」」に衝撃を受け、1つの題材をもとに作曲することにした
  • 原曲のメロディを主題として使ってはいるが、自分なりの解釈で課題となる各要素を散りばめています。
  • 各団体なりの個性的な”あんどこファンタジー”を楽しんでもらえると幸いです。

要約するとこんな感じですかね。時間のある方は是非こちらから全文を読んでみてください。作曲者5人分の挨拶文が載っています。

林さんは課題曲の審査過程で、試奏審査まで残ったのは今回が3回目ということなので、やはりそれなりに実力があるというのをうかがい知ることができますね。

上記ツイートのように他にも楽曲の提供をされているようです。今後の活躍にも期待できます。

Ⅱ.マーチ「エイプリル・リーフ」  近藤悠介

2019年度吹奏楽コンクールの課題曲Ⅱに選ばれました、マーチ「エイプリル・リーフ」です。タイトルは「春・葉」ということで、爽やかなピンク色や鮮やかなグリーンを連想してしまいます。

1分試聴バージョンを聴いてみましたが、メロディのアウフタクトに続くのは装飾音符でしょうか。これがとてもオシャレな雰囲気を醸し出していますね。後に続くフレーズは技術的には平易で特にこれといった特徴もありませんが、その構成がこの装飾音符の味を効果的に演出しています。

現在聴ける範囲では良くも悪くも例年通りの「課題曲マーチ」という感じがします。Trio以降の後半に期待しましょう。

近藤悠介氏について

グーグル先生に聞いてもあまり情報が出てこないので、会報吹奏楽の挨拶を紹介します。

  • 課題曲の選定が公募制になっていることは専門学生時代に知り、今回が3回目の応募でした。
  • タイトルは2017年4月1日の帰省中のバスの中で思いつきました。
  • おしゃれで親しみやすいメロディーを目指したので、色気を大切に演奏してください。

要約するとこんなところです。近藤さんの挨拶文は今回の課題曲に入選するまでの流れが詳細に書かれてました。これから応募を考えているからには参考になる情報です。もちろん、そうでない方にも課題曲決定までの裏舞台を知るにはとてもよい文章でしょう。

1分試聴からも分かるように、作者が言う通りおしゃれな旋律が特徴的です。どのように解釈するかで、きらびやかな仕上がりになるのか、純朴な春の様子を描くのか、はたまた全く違う印象付けになるのか、期待できますね。

Ⅲ.行進曲「春」  福島弘和 (委嘱作品)

2019年の課題曲Ⅲはプロの作曲家に委嘱した作品です。

「なぜ今年は課題曲が3曲?」

と思っていましたが、福島さんの挨拶を読んですぐに解決しました。

< a href="http://www.ajba.or.jp/suisougaku209.pdf" target="_brank">会報吹奏楽209号

課題曲の委嘱の契約書には「行進曲以外」となっておりましたが、例年の課題曲のマーチと言うと、4拍子のマーチが定型文の様になっており、普通の2拍子のマーチがあっても良いかなと思い、無理を言ってマーチを書かせていただきました。吹連の役員の先生方には、快諾してくださったことを心から感謝しております。

・・・ということなんですね。

試聴してみると堅実に一歩一歩、歩みを進める「由緒正しき」という言葉が似合うような音楽でした。

Ⅱのマーチ「エイプリル・リーフ」同様、小編成で演奏が可能ですので、オプション楽器の有無にとらわれず、幅広い層のバンドに選ばれたらと思います。

福島さんは過去にも2曲課題曲に選出された作品があるので、その実力は十分に信頼できます。この曲は先ほど引用した通り、2拍子の行進曲ですので、ただ課題曲として消化するだけでなく、いろんなタイプのマーチに触れてみる、行進曲について勉強してみる、という点でも優れているでしょう。

会報吹奏楽のあいさつには、テンポ設定の理由や演奏時の注意もご本人の言葉で掲載されています。是非、読んでみてください。

Ⅳ.行進曲「道標の先に」  岡田康汰

2019年度吹奏楽コンクール課題曲Ⅳは行進曲「道標の先に」です。

この曲は実際聴くと分かりますが(またご本人もおっしゃってますが)8分の6拍子で進行します。2019年は課題曲のⅡ、Ⅲ、Ⅳが行進曲ですが、いい具合にもっている課題や特徴、味に違いがある3曲が揃いましたね。

岡田康汰氏について

会報吹奏楽のあいさつを紹介します!

  • 中学からトランペットをやっており、学生時代には課題曲を作りたいと感じていました。
  • 課題曲の応募は今回が3回目ですが、中学・高校時代の影響もあり、行進曲で応募を続けてきました。
  • タイトルは大学卒業時に作曲したこともあり、節目には出会いと別れがあるが皆それぞれの次への「道標」が明るい未来へ導いてくれるというメッセージを込めています。
  • 8分の6拍子で書いたが、親しみやすい旋律を取り入れた作品になるよう心掛けています。
  • 多くの団体に未来への期待、希望をもって演奏してもらえますように。

この方も3回目の応募ということで、その点はⅡの近藤さんと共通ですね。

少し補足をしておきますと、課題曲の応募は大きく分けて「行進曲」か「吹奏楽オリジナル曲」のどちらかを連盟に送ることになります。この岡田さんについては行進曲への思い入れがあったため、非行進曲ではなく行進曲を作ってきましたよ、ということです。

挨拶の中には2010年のオーディナリー・マーチ、2012年の行進曲「希望の空」が特に思い出に残っているとのことで、私もこの曲はどちらも大好きです。

オーディナリーマーチは最後に出てくる主題が特に楽しい!

マーチ「希望の空」はこれも8分の6拍子で課題曲マーチの中では新鮮だった覚えがあります。

Ⅴ.ビスマス・サイケデリアI  日景貴文

課題曲Ⅴは第11回全日本吹奏楽連盟作曲コンクール第1位作品です。課題曲Ⅴは2008年から全日本吹奏楽連盟作曲コンクールの1位作品を採用する、ということになっています。

試聴してみると例年通り課題曲Ⅴにふさわしい・・・と冒頭部分から感じられます。吹奏楽の世界に入ってまだ浅いうちは「よくわからん!」という感想を持ちそうですね。私もそう感じています。

「ビスマス」というのは日本語で蒼鉛(そうえん)という意味らしいです。wikipedia曰く「淡く赤みがかった銀白色の金属で、柔らかく脆い。」だそうです。
「サイケデリア」は

引用元:wikiperia サイケデリックより

サイケデリック(形容詞 psychedelic)、サイケデリア(名詞 psychedelia)は、LSDなどの幻覚剤によってもたらされる心理的感覚や様々な幻覚、極彩色のぐるぐる渦巻くイメージ(またはペイズリー模様)によって特徴づけられる視覚・聴覚の感覚の形容表現である。しばしばサイケと略される。

だそうです。

日景貴文氏について

ツイッターをやってらっしゃいますね。課題曲に言及することもあるみたいなので、ありがたいです。

会報吹奏楽から少し一部要約してみると・・・

  • 自身の作品を実際に演奏してもらえるのは作曲家にとって至上の喜びです。今回の受賞はとても感慨深いものでした。
  • ビスマスの鉱石に魅せられ作曲に至りました。
  • この曲はビスマスに対する自身のイメージを表現した作品で、最後のⅠはシリーズ化予定のナンバリングです。
  • ビスマスと音楽の演奏は外部の干渉によってさまざまな色彩を感じさせる点が似ていると思います。
  • 大変高度な演奏技術が求められる作品ですが、期待しております。

です。ビスマスと演奏の説明は端折っていますが、実際には

ビスマスについて興味深いのは、彼らがもつ本来の色は赤みがかった銀白色で、表面の酸化膜に光が当たることによって、あの特徴的な色彩が生じるという点です。これは、白と黒の実で作られた楽譜が、演奏されることによって聴き手にさまざまな色彩を感じさせることと、なんだか似ているような気がします。

でした。

おわりに

今月末には出版されます。とはいえ、練習に本腰が入るのはだいたい4~5月くらいからかと思います。

参考演奏を聴いて課題曲を耳に馴染んでおくといいでしょう。悔いの残らないコンクールにしてください。

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