チューバの基礎練習のやり方・メニュー

さいくろん

チューバ暦30年。社会人吹奏楽団と管弦楽団で活動中。 アマチュアのボランティア活動として、小中高校での練習もサポート中です。

チューバを吹いている皆さん、楽しく練習していますか?

チューバは吹奏楽や金管バンドでは、バンド全体を支えるサウンドの土台ですから、たいへん重要な役割を担っています。

チューバの大切な役割には、打楽器と協力しながら楽曲のテンポを維持し、時に早めたり緩めたりするというものがあります。

また、ハーモニーの土台となる音(根音)を演奏することが多く、楽曲全体の強弱に変化をつける役割も重要です。

ここでは、チューバ演奏に役立つ基礎練習の5つのテーマをご紹介します。

練習の優先順位は、番号の順のとおりです。

練習時間が充分にとれない場合は、1番と2番だけでも練習時間を確保してください。

豊かな音作りと、強弱のコントロール練習

チューバに限らず金管楽器を演奏する上で、響きのある良い音づくりにロングトーン練習は欠かせません。

しかし、練習時間にも限りがあるでしょうから、ロングトーンだけに時間を割けないのが実状ではないでしょうか?。

ここでは、ロングトーンに、スラーとクレッシェンド(デクレッシェンド)を組み合わせた練習を紹介します。

この練習で、響きのある音作りをしながら、音の強弱をコントロールする練習を同時に行ないます。

テンポはメトロノームを使って4分音符でテンポ60に設定します。

基本的には 8拍のロングトーンですが、前半は次第にクレッシェンド(だんだん強く)、後半は次第にデクレッシェンド(だんだん弱く)しましょう。

このときに、できるだけ「音の強弱の幅」は、広くなるように努めます。

また、ブレスは深くとり「大きな音」ではなく、「遠くまで届く音」をイメージしてスピードのある息を楽器に吹き込みます。

音の強弱にあわせて音程がゆらゆらと揺れたり、上ずったり、下がったりしていないかも意識しましょう。 スラーは、音がより滑らかに変化できているかを意識しましょう。

※テンポの設定や拍の長さは自分に合った速さや長さに変えて練習して、自分オリジナルの練習方法を試してみるのも楽しいかもしれません。

ロングトーン1

最も基本的な調性のロングトーンです。 スクールバンドでも一般的なB♭管チューバの調性と同じです。

ロングトーン2

ロングトーン1より、音域が少し高くなっています。(調性も変わっています。)

ロングトーン3

ロングトーン2より、さらに音域が高くなります。

なお、高音域がまだ上手に出せない間は、ロングトーン3の練習はとばしてよいでしょう。1と2の練習をしっかり行いましょう。

インターバル(音の跳躍)練習

インターバル(音の跳躍)練習を通して、異なる音域の音を正確に発音できるようになることを目指します。

金管楽器は、同じ運指でいくつもの音が出せます。

例えば、この譜例では、音の高さが違いますが、B♭管チューバでは指使いは同じです。(全て開放で、ピストンを押さない状態です。) 初心者の方に意識してほしいのは、同じ指使いでも高い音域と低い音域では吹くときの「唇の形」と「口の中の形」、「舌の位置(高さ)」、楽器に吹きこむ息の「スピード」が異なっているということです。

それでは早速始めましょう。

テンポはメトロノームを使って4分音符テンポ60に設定します。

風船の破裂音のように音がバウンドしたり、かすれたりしていないか、自分の音に注意を傾けましょう。一音一音、集中して発音します。

低い音は口の中を縦に大きく開け、舌の位置がより下がった状態をイメージすると吹きやすいかもしれません。

ただし、歯並びや体格などの個人差によって、最適な発音イメージもかわるでしょう。

実際に吹いて自分の音をよく聴いて、自分にフィットした発音イメージを探求してみましょう。それらの試行錯誤も練習の楽しさとも言えます。

どの音域も明瞭に発音できるようであれば、テンポを80や100まで速めてみましょう。

ただし、アクロバットのような速いテンポで練習することが目的ではありません。音の輪郭が明瞭な、美しい発音をするための練習です。

インターバル 1

最も基本となる跳躍練習です。 赤い数字は、B♭チューバの運指を表しています。

例 1は一番ピストンを押します。0は開放を表しています。

インターバル 2

インターバル1よりも、音域が下がっています。

調性も変わり、♭記号が3つ外れていますので運指にも気をつけてください。

インターバル 3

更に音域が下がります。初心者の皆さんには、難しいかもしれません。

そのときは、更にテンポを落としてしっかり息を入れましょう。

正確な発音とテンポ感覚を得るためのタンギング練習

吹奏楽でのチューバの大切な役割の1つは、打楽器と協力して楽曲のテンポを維持したり、早めたり、減速させたりすることです。

ここでは、タンギングの練習を通して、明瞭な発音と、色々な速さのテンポ感覚を養うことを目指します。

メトロノームは、必ず8分音符も鳴らして練習しましょう。 (8分の6拍子のときは、3連符を鳴らしましょう)

ダブルタンギング、トリプルタンギングが使えないと、演奏が難しい楽曲があります。

例 スター・ウォーズ コンサート・セレクション /ウィリアムズ(真島俊夫)/John Williams(Toshio Mashima)

開始から7秒後、また、3分25秒前後からのチューバパートに注目してください。非常に速く印象的なリズムが演奏されます。

私が過去に演奏した際には、この部分はトリプルタンギングでなければ、演奏できませんでした。

ダブルタンギングと、トリプルタンギングは、シングル(普通の)タンギングがしっかり出来るようになってから、取り組んで欲しいと思います。

ですので、今回の解説では割愛します。

テンポはメトロノームを使って4分音符=60に最初は設定します。 ひとつひとつの音の輪郭が明瞭に発音できることを意識して練習しましょう。

正確に吹けたら、テンポを5メモリづつ速めていきます。 最終的な目標のテンポは120を目指します。

正確に吹けていないにも拘わらず、先を急いで、どんどんテンポを上げないようにしましょう。 テンポを上げていくと、やがて乗り遅れたり音の輪郭がつぶれたりとばらつきが出てきます。

毎日の練習で、自分がどの速さのテンポまで正確に吹けるかを把握して、日々の練習に臨みましょう。 慣れてくれば、スタートするテンポの設定を自分に合わせて工夫すると良いでしょう。

タンギング 1

ひとつひとつの16分音符を正確に演奏しましょう。

タンギング 2

3連符の練習です。ここでもシングルタンギングで練習しましょう。

唇の柔軟性を高めるためのスラー練習

スラー練習では、唇の柔軟性をたかめ、良い音色を育てます。

また、楽曲の中での滑らかで柔らかな演奏表現を実現します。

テンポはメトロノームを使って4分音符=60に最初は設定します。 音が上がる(下がる)ときに、滑らかで途切れることなく音がつながりをもって演奏できているかを意識します。

練習時間が確保できるときは、80や100を目標に、テンポを上げて練習しましょう。

実際の楽曲の中で、スムーズな演奏を行なうことが期待できます。

スケール(音階)練習

スケール練習は、フレーズを演奏するための礎になります。

繊細なフレーズや、細かい複雑なパッセージがある難しい曲も基本的な音階の組み合わせで成り立っていることが、多いものです。

あらゆる調性の音階練習を、あらゆるテンポで練習することが望まれます。

スクールバンド(吹奏楽・金管バンド)のチューバの生徒さんは、少なくとも次の調性(※)のスケール練習はしっかり行いましょう。

※オーケストラでの演奏を中心に練習をするチューバ奏者の皆さんにとって、馴染みの少ない調性です。

テンポはメトロノームを使って60に最初は設定します。

テンポに乗り遅れたり、急ぎすぎたりしないように、気をつけながらひとつひとつの音の輪郭をはっきりと演奏します。

正確に吹けたら、テンポを5メモリづつ速めていきます。

最終的な目標のテンポは120を目指します。

テンポが速くなると、指使いだけに気を取られて「スピードのある息」を淀みなく吹き入れることを忘れてしまいがちです。

必ずブレスを深くして「遠くまで届く音」をイメージしましょう。

また、上で示したタンギング練習のときに、あなたにとっては「速くてまだ吹けないテンポ」で、スケール練習を行なっても正確には吹けません。

スケール練習のときも、正確に吹けていないにも拘わらず、「先を急いで、どんどんテンポを上げない」ようにしましょう。

タンギング練習とスケール練習は、車の両輪と同じです。

どちらも焦らずに、緩やかなテンポから始めて、自分が正確に吹けるテンポを確認しながら、テンポアップを図りましょう。

時間が足りないときには「得意な調性から始める」とか「肩の力を抜いて楽に吹けるテンポから始める」とか、自分流のスタイルを模索しても良いでしょう。

スケール 1

B♭管チューバの最も基本となる調性のスケールです。

スケール 2

スケール 1より音域が少しだけ上がります。

また、♭記号が二つ外れているので、運指にも気をつけましょう。

スケール 3

2番のスケールよりも、さらに音域が上がります。

今度は♭記号が三つに増えています。 音域が高くて吹けない音があるかもしれません。 高音域は、日々の練習を重ねることで、出せるようになります。

今は、無理やり搾り出すように高音を出すのではなく、演奏可能な音域を少しづつ広げていきましょう。

スケール 4

今度は、音域がぐっと下がります。

低い発音は難しいので、テンポは4分音符=60よりも更に落として練習してもかまいません。

口の中を縦に大きく開け、舌の位置がより低く下がった状態をイメージすることで、低い音が吹きやすくなるかもしれません。

おわりに

基礎練習は、日々の個人練習時間の半分以上を充てることを目安に、毎日できればよいでしょう。(合奏時間やパート練習時間を除きます。)

吹奏楽や金管バンドでは、カッコいいメロディーやソロを演奏する機会が少ないチューバですが、ここでご紹介した基礎練習をしっかり行なうことで、バンド全体のサウンドが厚くなり、リズムが明瞭に聴こえるようになります。

あなたも基礎練習をしっかり行なえば、バンドのみんなから「チューバが上手くなったから、吹きやすくなった」とか、先生方やお客様から「チューバの音が良くなったから、バンド全体のサウンドが良くなった」と褒められるかもしれませんよ!?

さぁ、今日からみんなで頑張りましょう!!

さいくろん

チューバ暦30年。社会人吹奏楽団と管弦楽団で活動中。 アマチュアのボランティア活動として、小中高校での練習もサポート中です。

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コメント:2件

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No.1チューバ吹きの猫
インターバル2の7小節目は12だと思いますが……
(違っていたらスイマセン_(._.)_)

2018/10/09(火) 19:35:52
No.2さいくろん
チューバ吹きの猫さん
返信が遅れて、たいへん申しわけございませんでした。

ご指摘いただき、ありがとうございます。

ご指摘のとおり、
「インターバル2」の7小節目の2分音符の指番号は、1番と2番です。
誤ってE♭管での指番号を記しておりました。たいへん申し訳ございませんでした。


お詫びして訂正いたします。 2018/10/23(火) 23:03:42

おわりだよ~

~ ここに「#sample」が存在した場合の処理を記述 ~