コンサート用アンケートの作り方。注意点と質問項目

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このサイトの企画、制作、保守全般を担当。 音楽略歴:トランペット10年、ピアノ2年 音楽やってる人を応援したい。

コンサートの準備にアンケートは欠かせませんネ。

アンケートはお客さんの性別・年齢分布を把握する、また広報効果や好評だった企画を測るなど、お客さんからのフィードバックを受けるためにとても大切なツールです。

効果的にこれらの情報を得るにはアンケートの質が重要になります。このページでは有効な質問項目と作成時のポイントについてご説明します。

アンケートは一度よく考えて作ったらあとは使いまわしが効くよ。

改善は常に必要だけどね。

 アンケートづくりのポイント

アンケートを書いてもらう大前提として、お客さんはもともと演奏を聴きにきただけでアンケートを書くことは考えていなかった。つまりこちらからお願いして初めて書いてもらえる、ということを肝に銘じておきましょう。

これが分かっていると当然、必要となる心遣いがアンケート記入にかかる心的・物理的負担を最低限まで落とすことです。

記入者の負荷を最低限まで落とす

できるだけ気軽にお手軽に書いてもらう工夫として、記入項目は可能な限り減らしましょう。

選択項目を中心として、短時間で答えられる内容にします。後述しますが、質問の並べ方は"閉ざされた質問"から"開かれた質問"へ少しずつ移行する配置がgoodです。

また、だいたいB5~A4サイズの用紙を使うと思いますが、質問は表面だけにとどめ、裏面にまで項目が及ばないようにしましょう。裏面にまで質問が続くとお客さんは「多い」という印象を抱いてしまいます。

また、用紙はプログラムに挟んで渡せるとして、同時に記入用のペンもこちらで用意し渡しておきましょう。先述の通り、アンケートを書くのはお客さんにとって想定外ですので、欠かせません。

これにはペグシルという商品が最適で以下の記事で紹介していますので、是非ご覧ください。

質問の意図(得られる情報)から逆算して質問を考える

質問項目の作り方も重要です。

お客さんからのアンケートはコンサートの通知表といってもいいでしょう。 どんな質問でどんな情報を引き出すか、その情報をどうやって次に生かすかまで事前に考えておかねばなりません。

  • ・来場者の分布
  • ・広報効果
  • ・選曲の妥当性

は特に次回のコンサートでも参考になる内容です。

どこの団体にも基本的な質問項目の他に、ローカルネタのような質問やちょっと変わった試みをしてみたい!という場合は特に吟味して質問項目を考えてみてください。

作成時の注意点~見やすさ・読みやすさ~

ここまでで、

  • ・記入者の負荷をギリギリまで下げる
  • ・質問項目は次に生かせるものを考える

と紹介しましたが、実際に紙に落とし込むときになって初めて気づくこともあります。

それは、質問項目を並べすぎて煩雑な仕上がりになってしまうことです。

フォントサイズや余白に十分な注意を払ってください。余白は特にパッと見の印象をやわらげるために大事です。

また、読みやすさも大切です。

フォントには大きく分けて明朝体ゴシック体があります。どちらも一長一短ですので、絶対にこちらということは言えませんが、私はアンケートに使うならゴシック体を選びます。

ゴシック体は柔らかい印象が強いな!

明朝体は高貴な感じ。そう、私みたいに。

なぜなら、ゴシック体は線の太さが均一で短い文章を読むなら疲れることがなく、また脳に直接入りやすい(と感じる)から。さらに明朝体に見られる高級感のようなものがなく、老若男女すべてに向いているから・・・です!

実際の質問項目~選択編~

では、ここまでのポイントを踏まえて、この章では実際の質問項目をその理由とともに紹介します。

先に出てきました「閉ざされた質問」と「開かれた質問」ですが、これは心理学やカウンセリングの世界に登場する言葉です。

心理学用語「開かれた質問/閉ざされた質問」 より ■開かれた質問:応答内容を相手に委ねる質問形式のこと。
心理学用語「開かれた質問/閉ざされた質問」 より ■閉ざされた質問:相手が「はい」「いいえ」あるいは一言で答えられるような質問形式のこと。

それぞれ上記のような意味になります。簡単な質問を前にもってきてアンケートに慣れてもらいつつ具体的な質問に移行していきましょう。閉ざされた質問には選択式の回答欄(〇やチェックをするだけのようなもの)を用いてください。

これから紹介する項目には

なにを今さら・・・

と思うものもあるかもしれませんので、サササ~っと流し読みしつつ進めてください。

年齢

これは回答者のプロフィールとして必要な項目です。クロス集計で特に活躍します。

例えば、のちに「特に印象に残った曲を教えてください」という質問があった場合、これに関連して重要になるのがこの回答者の年齢層や性別といった情報です。そこから傾向を探ることができます。

来場客の分布データと同時に深い分析をするために必要な情報です。

性別

性別も年齢と同様の意味合いで必要な項目です。

近年はジェンダー(性)に関する議論や配慮が昔より熱を帯びてきています。 ですので、これまでは「男・女」の2択でしたが、「その他」かなにか配慮のある選択肢を用意できるとgoodですね。(goodかな・・・)

お住まい

お住まいは広報をどこに仕掛けるか?という点で重要です。来場客の生活圏内にポスターを貼ったりチラシを配架することで演奏会情報を今後も届けることができます。

ちょっと遠くの地域にあってもできるだけ広報の範囲を広げるようにしましょう。

特定の地域が多い場合はローカルネタに富んだ演出を仕掛けることもできますね。

交通手段

どんな手段で会場まで来たかを問う質問です。

これは傾向がはっきりしているなら不要かもしれませんが、コンサート会場から開演時間までの各所案内要員を決めるときや駐車場の誘導係や駅前の案内役は必要かどうかなど人員配置を考える参考にできます。

また、過去にみたとある団体のプログラムにはコンサート終了時間頃の交通情報(時刻表)が載っているものもあり、その有用性・妥当性を図るのにも一役買います。

電車で来場された方が多いなら交通情報が載っていると親切ですね。

吹奏楽経験

吹奏楽の経験もたまに見る質問です。主にパートと年数です。これは仮にですけど、集計したときに「実は吹奏楽経験者がひとりもいませんでした」ってことがある(まぁそんなことはないんですが)と選曲を再考する余地が出てくるので、そういう意味合いで有効だと思います。

また、お客さんにも参加(演奏)してもらうタイプの企画を考える際にも参考になります。

来場きっかけの媒体

なにを見て、このコンサートを知りましたか?という質問です。これは広報活動がどのように作用したかを知るのに大切な質問です。

あまり効果の上がらなかったものは次回から辞めるとか、一定の効果を出したものは次回さらに力を入れる等しましょう。

この質問は選択式にしましょう。お客さんの負担軽減と、提示された方が答えやすいからです。複数回答可にしてしっかり集計しましょう。

良かった曲

基本情報の質問が終わるとコンサートの中身の質問に移ります。良かったまたは印象に残った曲は部ごとに聴くのもありですネ。ただ、先述の通り、質問数が増えすぎるとあまりよくないので、いい塩梅を探ってください。

この質問は次回の選曲の参考になるのと、単純に満足度を調べることができるという点で価値のあるものです。

特に票の集まった曲やステージはお客さんのウケが良いということですので、さらに磨きをかけた演奏・企画を次の舞台までに仕上げられればgoodです。

やってほしい曲

この項目はプロのコンサートのアンケートでも見たことがあります。

かなりばらけるでしょうし、固まったとしても組織票の可能性もありますが、質問に入れるからには一曲ぐらいは次回に演奏する気概で臨みたいですね。

もしも叶えば司会の際に、「この曲は前回コンサートのアンケートから選びました」とか一言添えるとお客さんのアンケート回答へのモチベーションが上がりますし、「この団体は客の声を汲み取ってくれるんだ」と思わせることもできます。

自由記述欄

自由記述欄です。この項目は結構好き勝手書いてもらえたり、空白がちだったりしますが、お客さんの自由な声を引き出すという意味で一定の効果はあると思います。

他の質問との兼ね合いで過度にスペースをとる必要はありませんが、十分に記入できるだけの枠はとっておきましょう。

連絡先欄(名前とメールアドレス)

これは「今後、コンサートやイベント出演情報を送ってもいいですか?」という文脈でされることの多い質問です。

個人情報ですので、取り扱いは要注意です。この質問を設定する場合は事前にお客さんの個人情報に関する取扱いガイドライン/運用ルールをしっかりと定めておきましょう。

万が一外部漏洩なんてことになると洒落になりません。

回収率をあげるために

質問項目が十分に練られている、というのはここまでで述べた通り重要ですが、それ以上にお客さんに書いてもらえる、書こうという気になってもらえることはさらに重要です。

そのためのポイントに触れます。

ペグシルで促す

さきにもちらっと触れましたが、受付時点でプログラムに挟んでペンを渡してしまいましょう。 「ペグシル」という使い捨てのペンが市販されているので、これがオススメです。

特典を付ける

プロだったらアンケートの中に「抽選で〇名様に次回コンサート招待」とつけたりしてます。 アンケートに答えることで直接メリットがある、となると記入の敷居はぐっと下がります。

司会で直接お願いする

コンサートの方針や雰囲気にもよりますが、司会者が直接頼むとお客さんにも書いてほしいという想いは伝わります。ただ、構成上どうにも言いにくい場合は影アナを使いましょう。

休憩に入るときに「アンケートの記入にご協力ください」と促すならコンサートの雰囲気を壊すこともありません。

おわりに

アンケートについてでした。私の経験や印象ではアンケートって結構軽視されがちなんですが、すごく大切なので余裕があれば少し力を割いてみてください。

もちろん結果のすべてを鵜呑みにする必要はありませんが、大切なお客さんの声です。

あ、演奏会に来るのは何回目か、という質問もいいですね。リピーターかどうかを図ることができます。

ありがとうございました。

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