チューバのお手入れ方法(演奏後に行う編)

さいくろん

チューバ暦30年。社会人吹奏楽団と管弦楽団で活動中。 アマチュアのボランティア活動として、小中高校での練習もサポート中です。

チューバ奏者の皆さん、楽しく練習していますか?

ここでは、演奏後に行なうお手入れ方法をご紹介します。 演奏後のお手入れを欠かさず行なえば、楽器のトラブルを予防できるので安心です。

チューバの音程を変える仕組みは、「ピストン」と、「ロータリー」の二種類がありますが、ここでは、ピストンタイプのE♭管バス(チューバ)を例にしてお手入れ方法をご紹介します。

早速今日からお手入れを始めましょう。

チューバの構造

お手入れの説明の前に簡単に楽器の構造を整理し把握しておきましょう。

チューバの口を当てる部分から順に、「マウスピース」、「マウスパイプ」、「ケーシング」(1番から3番ピストン)、「抜き差し管」(主管)、「ベル」(音の出口の部分)と呼びます。

また、それぞれのピストンには、対応した抜き差し管があります。

例えば「1番ピストン」には、「1番の抜き差し管」があります。

  1. マウスピース
  2. マウスパイプ
  3. 1番ピストン
  4. 2番ピストン
  5. 3番ピストン
  6. 1番の抜き差し管
  7. 2番の抜き差し管
  8. 3番の抜き差し管
  9. 抜き差し管(主管)
  10. ベル

※写真では、4本目のピストンが見えます。
これはコンペンセイティングシステムと呼ばれる音程補正の仕組みです。チューバの基本的な構造には含まれないので、今回の説明からは割愛します。

  1. 1番の抜き差し管
  2. 2番の抜き差し管
  3. 3番の抜き差し管
  4. 抜き差し管(主管)

ここで主にご説明した管がこのページで紹介するお手入れの対象です。

マウスピースからの水分の拭き取り

YAMAHA マウスピーススワブMPSL2(金管楽器用)演奏後のマウスピース内部に残った水分を、スワブで拭き取りましょう。
スワブとは、管楽器の水分を拭き取るための布のことです。

楽器の種類や用途に応じたスワブが楽器メーカーから販売されています。

演奏後に、マウスピースから水分を取り除いて清潔に保てば、汚れが溜まることを防げるので、予期せぬ演奏トラブルの予防になります。

金管楽器のマウスピース用のスワブが販売されています。マウスピースのスロートに通すだけで簡単に水分を取り除けます。

マウスピースのスロートとは、口にあてるお椀のような部分(カップ)の奥のすぼんだ細い管の部分です。

マウスピースの中で詰まらないように、通す前にスワブ全体をよく伸ばし、口に当てる方向からスワブを通します。 マウスピースの内側は、楽器の音色を特徴づける大切な部分です。

ここのお手入れを怠ると「音色が明るい」とか、「音量が豊か」など、それぞれのマウスピース本来の特徴が出せないばかりか、上達の妨げにもなるので、いつも清潔にしておきましょう。

楽器管内の水分の除去

楽器の中に水分が溜まったまま放置すると、管内が腐食する原因になります。 衛生面でも安心して演奏ができるように、管内の水分は取り除いてからケースにしまいましょう。

◆ウォーターキーから排水

まずはウォーターキイを押さえて水分を出してください。

ウォーターキイとは、抜き差し管の底についた水抜き用のばね付きのフタです。 フタにはコルクが付いていて、このコルクが栓の役割を果たします。

◆抜き差し管から排水

次に、抜き差し管を抜いて、ひっくり返して中の水を抜きます。

抜き差し管を抜くときには、対応するピストンを必ず押さえながら抜き差し管を抜きましょう。

例えば3番のピストン(薬指で押すピストン)に繋がった抜き差し管を抜くときは、3番のピストンを押しながら抜き差し管を抜きましょう。

対応するピストンを押さえずに抜き差し管を抜き挿しすると、うまく抜けない(挿せない)ばかりか、不具合の原因になりかねません。

抜き差し管を抜いたときに、ポンッと音がする場合は、対応するピストンが押されていないということです。 3番抜き差し管を抜くときは、3番ピストンを押しながら抜きます。

抜き差し管をひっくり返して水を抜き、さらに、チューバ用クリーニングスワブを利用すると、効果的に水を抜くことができます。

YAMAHA/クリーニングスワブ CLSBB (チューバ抜差管用)【ヤマハ】

クリーニングスワブのガイド(細い導線)の先端に付いているガイドプラグを、管の片方から入れて、管を通すだけの簡単な作業です。

バルブオイルへの注油

YAMAHA バルブオイル・ビンテージ VOV2バルブオイルとは、金管楽器のピストンに注油するための専用のオイルのことです。

演奏前にバルブオイルをピストンに注油する人は多いと思いますが、演奏後の注油も忘れずに行いましょう。

ピストン部分のさびや腐食を防ぎ、演奏中の不要なトラブルを予防します。

管楽器は口に直接あてて使うものですから、安全や健康のために必ずバルブオイルを使いましょう。

身近な機械用のオイルや潤滑剤は体に有害な添加物が含まれている場合もあります。絶対に楽器には使わないようにしましょう。

◆ピストンの取り出し

ピストン本体を取り出すために、ピストン上部のネジ(ケーシングのネジ)を緩めて、ピストンを途中まで抜きます。

このとき、ピストンは回さず、ゆっくり丁寧に抜きましょう。

ピストン上部のネジ(赤い線で囲んだ部分)をまわします。(上から見て、反時計まわり)

◆バルブオイルの注油と注意点

ピストン本体にバルブオイルを数滴注油します。

YAMAHA ポリシングガーゼ PGL2チューバは重くて大きな楽器です。 小学生は、転んだりぶつかったりしない、安全な場所にチューバを寝かせて注油することをお勧めします。

また、ピストンを、床に(!)直接置いて作業する児童を見かけることがあります。 ゴミや砂がピストンに付くと、ピストンに傷がついて動かなくなります。

ピストンは絶対に床に直接置かず、清潔なポリシングガーゼの上に置きましょう。

◆ピストンを戻す

ピストンを元の位置に戻したら、ネジを締めて、数回ピストンを上下させてオイルをなじませましょう。

ピストンにはガイドと呼ばれる小さな爪が付いています。 この爪の位置をケーシングの中の溝に合わせれば、元の位置に戻せます。 ピストンをケーシングに戻すときに、無理な力を入れなくてもスムーズに入るように作られています。

ピストンがスムーズに入らないときは、ピストンの位置が本来の位置とズレているかも知れません。よく観察して、注意深く戻しましょう。

バルブオイルを別の品番のオイルに変更する場合は、ポリシングガーゼ(清潔なガーゼ)を使って、ピストンから古いオイルを拭き取ってから新しいオイルを使いましょう。

粘度の異なるオイルが混ざると、トラブルの原因になります。

楽器表面の拭き取り

楽器ケースに楽器をしまうまえに、楽器の表面についた指紋や汚れをクロスで拭き取ってからしまいます。

クロスとは、楽器の表面の汚れを拭き取るための布のことです。

楽器の大きさや楽器表面の仕上(塗装など)に応じて色々な選択肢があります。 自分の使い方にマッチしたものを選びましょう。チューバ用にはサイズの大きなクロスが用意されています。

ヤマハ シルバーポリッシュSP2YAMAHA シルバークロス(L) SVCL2シルバークロスは、シルバーポリッシュ(研磨剤)を染み込ませたクロスです。

銀メッキの楽器表面を美しく保ちたい人には、シルバーポリッシュ(研磨剤)で磨く方法もありますが、シルバークロスで楽器を拭くと簡単にきれいになります。

おわりに

筆者の楽器は、30年以上前に購入した楽器です。オーバーホールや小修理を重ねながら大切に使ってきました。

今でも問題なく演奏が続けられます。 まさに、人生の苦楽を共にしてきた大切なパートナーです。

皆さんも、演奏後のお手入れは欠かさずに行なって、末永く楽器を使ってくださいね。

さいくろん

チューバ暦30年。社会人吹奏楽団と管弦楽団で活動中。 アマチュアのボランティア活動として、小中高校での練習もサポート中です。

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コメント:2件

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コメント (2件)感想、指摘系はここに。相談は掲示板に。

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No.1りんご
ピストン上部のネジが回らない時は
どうすればいいですか?ちなみに1番ピストンが回りません 2018/08/08(水) 13:34:02
No.2さいくろん
りんごさん
こんにちは!

ピストンのケーシングの螺子が固着して困っているようですね。

この場合は、自分でDIYすることはお勧めしません。
ケーシングは非常にデリケートですし、自分で治そうとして、逆に悪化させるリ
スクも大きいです。
信頼のできるプロのリペアに依頼することをお勧めします。 2018/08/08(水) 21:42:06

おわりだよ~

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