チューバが演奏から遅れる原因は2種類ある!?「late」と「slow」その対策について

さいくろん

チューバ暦30年。社会人吹奏楽団と管弦楽団で活動中。 アマチュアのボランティア活動として、小中高校での練習もサポート中です。

チューバ奏者の皆さん、楽しく練習していますか?

皆さんは、指揮者の先生から「チューバが遅れている」と、合奏中に指摘されたことはありませんか?

この記事は、チューバの演奏が「どうすれば遅れない」のか、その考え方や練習方法をまとめたものです。 皆さんも一緒に、練習に取り組んでみてください。

なお、この記事は、以前Suipediaへ寄せられた質問に対する回答を、加筆・校正したものです。

Suipediaでは、チューバの練習方法に関する記事も掲載されています。そちらも併せてご覧いただけると、嬉しいです。

「遅れる」には、二つの意味がある!?

指揮者の先生からチューバパートの遅れを指摘されて、「修正したつもりなのに、逆に違和感が増した」という経験はありませんか?

演奏が「遅れる」と指摘された場合、実は二つのケースが考えられます。

実際に遅い(Slow)ケース(⇔速く)

ひとつは、あるべきテンポより実際に遅いテンポで演奏しているケースです。

これは、英語のSlow に相当します。このときは、「速く」(Fast)吹くように修正しなければいけません。

典型的な例を、下にわかり易く示します。

  • 指揮者の要求よりも、遅いテンポでチューバが演奏している。
  • 他パートよりも、チューバが遅いテンポで演奏している。
  • チューバのメロディーパートなどでテンポが緩む。

遅れて(Late)聴こえるケース(⇔早く)

もうひとつは、あるべきタイミングよりも、音が遅れて聴こえるケースです。

これは、英語のLate に相当します。このときは、「早く」(Early)吹くように、(あるいは「早く」聴こえるように)修正する必要があります。

音が本来のタイミングから遅れて聴こえるのは、発音すべきタイミングに「乗り遅れ」て吹いている場合と、「発音が不明瞭」なために、音の輪郭がぼやけて、結果的に遅れて聴こえる場合が考えられます。

タイミングに「乗り遅れ」るのは、休符直後の音や、タイで繋がったフレーズ直後に起こりがちです。

「発音が不明瞭」で、遅れて聴こえるのは、低音楽器の特徴や音色に拠る部分です。 自分ではテンポ通りに演奏しているはずなのに、遅れて聴こえることがあるようなので、困ります。

Slowの「遅れる」に対応するために

Slowの「遅れる」に対応するためには、「普段の基礎練習の工夫」と、「合奏前の準備」が大切です。

普段の基礎練習の工夫

特別な練習を行わなくても、普段の基礎練習をひと工夫してみましょう。 いろいろなテンポ感覚が身について、テンポ維持が落ち着いて出来るようになるでしょう。

ロングトーンや、タンギング、スケール練習など、皆さんには毎日行う基礎練習メニューがあると思います。多くの方は毎日同じテンポで、繰り返しているのではないでしょうか。

同じ練習でも、1回目と2回目とで、テンポを少し変えて練習してみましょう。このとき、必ずメトロノームを使ってください。練習時間に限りがある人は、同じ基礎練習楽譜でも、日によってテンポを少しだけ変えて練習しましょう。

電子メトロノームであれば、八分音符のビートを鳴らして、拍子の裏拍を感じながら練習をしましょう。

メモリ5つ分のテンポの違いでも、案外吹き分けることは難しいものです。同じ練習の繰り返しでも、テンポの違いを吹き分ける体験が、合奏中の微妙なテンポの変化を感じ取ることにつながります。

次に示す楽譜を使って、普通のタンギング練習を、テンポ感覚の練習に応用してみましょう。ゆっくりしたテンポから、速いテンポまで、幅広く、ムラなく練習してみてはいかがでしょうか。

シンプルなタンギング練習ですが、メトロノーム1メモリ分のテンポの違いですら、吹き分けられるように、あらゆるテンポで練習しましょう。

合奏前の準備

合奏前の個人練習で、多くの方は運指やリズムを確認すると思います。 リズムや音とりが終わっても、そこで安心せずにメトロノームを使って実際に演奏してみましょう。

まず、そもそも一定のテンポで演奏できているかを、確認しましょう。 チューバを吹き始めてまだ日の浅い方には、意外と難しいのではないでしょうか。 チューバにとって、体育祭のマーチなど、一定のテンポで伴奏できているかはとても大切です。

シンプルな伴奏部分も含めて、勝手にテンポが速くなったり、遅くなったりするフレーズがないか、事前に確認をしましょう。 合奏前の準備を行うことで、テンポに関する演奏上の癖がないか、把握することができます。

Lateの「遅れる」に対応するために

タイミングの乗り遅れを解決しましょう

タイミングの乗り遅れは、「タイで繋がった音の次の音」、「八分休符や十六分休符の次にある音」で起こりやすいようです。このときは「早く」(Early)吹くように修正しましょう。

これらは、楽譜に記された音符の長さを正確に演奏すれば、理屈の上では起こりませんが、実際には多くの場面で耳にします。

合奏前の準備」の項でも触れましたが、メトロノームを使ってテンポに関する演奏上の癖がないか、把握しておきましょう。

演奏中は、四分音符(四分の四拍子や、四分の二拍子の場合)だけで、テンポを感じるのではなく、八分音符の裏拍も感じながら演奏すると、乗り遅れが起こりにくくなります。

この感覚を養うためには、電子メトロノームを用いて練習する場合に、必ず八分音符のビートを鳴らしながら練習するように心がけましょう。

不明瞭な発音を解決しましょう

チューバは、他の金管楽器に比べて、もともと音が届く速度が遅いのです。

ですから、指揮者が指定するタイミングどおりに演奏していても、遅れて聴こえることが多いように感じます。客席でもタイミングよく聴こえるように、チューバ奏者は日ごろからの訓練が必要です。

発音を明瞭にして、音の輪郭をはっきり提示できるように、普段から発音練習を行いましょう。発音のきっかけを舌に頼りすぎず、音が鳴り始める最初の瞬間から、スピードのある息で発声できることがポイントです。

次に示すのはインターバル(音の跳躍)練習の楽譜ですが、ここでは発音の練習として吹いてみましょう。

インターバル -2- は、音域が低く、難しい方は、インターバル -1- だけでもかまいません。

この練習のポイントは、口の中の形(舌の位置や下顎の位置)を、日本語の「ホー」をイメージして発音してください。アンブシャは、いつもの通りで構いません。

日本語で「ホー」と発音するときには、舌を使わずに発音しているはずです。舌に頼らずに(※タンギングせずに)、吐く息のスピードとコントロールだけで、輪郭のある音が出せるか、確かめてみましょう。

スピードの速い息と、コントロールが上手くできれば、輪郭の明瞭な音で発音できると思います。

※通常の演奏や、通常のインターバル練習として行なう場合は、タンギングはいつもどおりに行なってください。

上のインターバル練習では難しすぎる、という方は、次の練習をしてみてください。練習方法の考え方は、先に記した発音練習(インターバル練習の応用)のときと同じです。

この練習の目的は、音が鳴り始めた瞬間、輪郭がはっきりと吹けているか注意深く意識して吹くことです。

  • 音が鳴り始める瞬間に、破裂音になってはいないか?
  • 音の輪郭が明瞭に吹けているか?
  • 発音を舌に頼りすぎていないか?

自分の音をよく聞いて練習しましょう。 上に記した練習方法を通して、他の楽器よりも音が遅れて届きがちなチューバでも、明瞭な演奏ができることをめざします。どうぞ、試してみてください。

終わりに

「チューバの遅れ」についての記事は、いかがでしたか?

自分の今までの体験と照らし合わせてみてください。もしも、指揮者の先生や他のパートの奏者から「チューバが遅れる」と指摘されたら、"Late"と"Slow"のどちらなのか、確認してみましょう。

自分が思っていたのとは、別の答えが返ってくるかもしれませんね。(笑)

この記事が、皆さんの日々の練習に活かしてもらえると、嬉しいです。

さいくろん

チューバ暦30年。社会人吹奏楽団と管弦楽団で活動中。 アマチュアのボランティア活動として、小中高校での練習もサポート中です。

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