フルートの基礎練習のやり方・メニュー
ゆっふぃー
某音大卒業のフルート吹きです。普段は小さな会場で演奏活動を行ったり、教えたり、コンテンツ制作のお手伝いをしたりしています。 漫画が好きでほぼ毎日読んでいます。 使用楽器はムラマツの14k Gold(9k mech.) SRです。
みなさん、日々の基礎練習はどのようなメニューで行っていますか?
基礎練習はたくさんの種類があるため、始めたばかりの方はそもそも何をやったらいいかわからなかったり、自分にはどんな練習が必要か把握できていなかったり、そんな戸惑いを持った方もたくさんいると思います。
そこで今回は基礎練習のやり方・メニューのご提案から上達するための注意点まで詳しく解説していきたいと思います。
効率の良い練習がしたい方、必見です!
そもそも基礎練習の意味とは?
楽器を始めた理由は楽器で何かしらの曲やフレーズを吹きたいからという方がほとんどですよね?
「音が出ればそれで満足です。」という方はあまりいないはずです。
ではなぜ、音をひたすら伸ばしたり音階などの地味な練習を行ったりしなければならないのか、曲の練習をずっとやっているほうが近道じゃないか、という意見が出てくるのは自然だと思います。
まず基礎練習を行うべき単純な理由として、一つの要素に特化した練習が大事だからということが挙げられます。
フルートの場合、息のコントロールや腕の構え、運指、そこに楽譜を見る作業が加わってくるので同時にたくさんの動作を行わなければなりません。
楽器を始めて間もない場合、どの要素も未熟なため全てを同時に行うとどれも中途半端になってしまいます。
そこで、分解して単純化させた基礎練習が大事になってきます。 一つ一つの要素を着実に伸ばしていく作業なのです。
基礎練習を行う上での注意事項
基礎練習はとにかくやっていれば上手くなるはず、というのは少し危ない認識です。
というのも、この練習を行うと何を鍛えることができるのか、どういう目的を持った練習なのか、ということを把握してやることが大前提だからです。
また、基礎練習は練習時間の四分の一程度(25%)あてるとよいでしょう。 曲を吹くことで伸びる要素もたくさんありますから、バランスのとれた練習が必要になります。
そして、常に自分が少しでも成長しているかどうか、という点に敏感になることも大切です。 時間を割いて練習をするのであれば、より効率的に成長したいですよね。
自分が一番厳しい先生でいることが楽器上達の一番の近道です。
おすすめのメニュー
ここまで、あらゆる基礎練習に共通する大切なことについて言及してきましたが、ここからは実際におすすめメニューを紹介したいと思います。
①ロングトーン(ソノリテ)
管楽器吹きは一度は聞いたことがある言葉「ロングトーン」です。その名の通り音を長く伸ばします。 運指をまだ覚えていない初心者の方でも運指表を見ながらできる練習です。
メトロノームに合わせて〇拍伸ばすというものよりも、息のコントロール力を養うために自分が出せる限界の長さまで伸ばす方法をおすすめします。
最も注意すべき点は「自分の出したい音をイメージできているか」です。
また運指を覚えた方は、ソノリテという練習方法もトライしてみましょう。 ソノリテとは日本語訳すると「響き」のことで、綺麗な響きを作る練習のことです。
吹奏楽で行うチューニングのシ♭(B♭)の半音上「シ(B)」の音から始めます。(五線の上第2間のシ(B)です)
シ(B)(2~3拍)→シ♭(B♭)(4~6拍)×2
シ♭(B♭)→ラ(A)×2
ラ(A)→ラ♭(A♭)×2
↓
↓
↓
最低音ド(C)まで。
その後に高音域も同じことをやります。
シ(B)(2~3拍)→ド(C)(4~6拍)×2
ド(C)→ド#(C♯)×2
ド#(C♯)→レ(D)×2
↓
↓
↓
出せるところまで。(開始音の1オクターヴ上のシ(B)までいけるのが望ましいです。)
こちらの練習の目的は響きを揃えるところにあります。
開始音「シ(B)」の音で豊かに響く音を出し、半音下げて(上げて)も同じ響きを持続させます。
次の音に移り変わっても響きを常に持続させることで、どの音も豊かに響かせることを目標にしてやることがポイントです。
②タンギング
タンギングは発音や舌の位置、舌を付ける面積などで大きく変わってくる奥が深い分野といえます。
まずは「トゥ」の発音でより速くできるように練習するのが最適です。シ
(B)やラ(A)の音(チューニングのシ♭(B♭)の付近)が綺麗に響きやすく出しやすいので、この辺りの音を選択しましょう。
メトロノーム70や80に設定し、
4分音符×4
→8分音符×4
→3連符×4
→16分音符×4
という具合に1拍に入れるタンギングの数をどんどん増やしてください。 楽々できるようになったらメトロノームの速度を少しずつ上げていきましょう。
③音階(スケール)
吹奏楽の場合、変ロ長調(B-dur)が一番馴染み深いかと思いますが、
ハ長調(C-dur)も取り組んでください。 曲は基本的に音階や和音を使い飾りをたくさん加えることでできています。
音階がスラスラとできていると、譜読みが速くなります。
慣れないうちは1オクターヴ間を8分音符でやると良いでしょう。
ドレ ミファ ソラ シド レド シラ ソファ ミレ ド(全音符)
慣れてきたらタンギングとスラーを加えてやりましょう。 ・8分音符3つスラー、残り1つスタッカート
・8分音符2つスラー、残り2つスタッカート
・8分音符1つスタッカート、残り3つスラー
・8分音符2つスタッカート、残り2つスラー
こちらもスムーズにできるようになったら、組み合わせを変えて工夫しながら色んなパターンでやってみましょう。
次は2オクターヴ間でやりましょう。
ド(C)のみ4分音符、他は8分音符。
ド レミ ファソ ラシ ド レミ ファソ ラシ ド シラ ソファ ミレ ド シラ ソファ ミレ ド(全音符)
できる調は24調が書いた譜面などを見ながらどんどん増やしてください。
少し難しいですが短調にも積極的に取り組みましょう。
④トリル
トリルとは元になる音とその音の1つ上の音を交互に速く演奏する奏法です。 このトリルを運指を鍛える練習に活用しましょう。
同時にトリルの運指(教本などに載っていたり、検索したりすると出てきます。)も覚えて一石二鳥にするのが賢いです。
何の音でもいいですが、何種類も色んな指を使ってやってください。
メトロノーム50~60に設定し(ド(C)レ(D)を例に使います)
ドレドレドレドレ ドレドレドレドレ ドレドレドレドレ ドレドレドレドレ ド(全音符)
「1拍にド(C)レ(D)×4」×4 ド(C)で終止音にして伸ばす。
こちらをあらゆる音でやってください。
その際に動きにくい指がある、という場合はよく練習する余地があります。
また、ずっとやっていると痛みを感じる場合は持ち方や力の入り方に問題があるので改善したほうがよいでしょう。
手首の角度や右手の親指の位置、左手の人差し指付け根の状態などを鏡を見て観察し、痛くない持ち方を探ってみてください。
おわりに
どれも地味な練習ですが日々の積み重ねで確実に伸びていく部分が必ずあります。長い目で見て成長を楽しみにしてください。
また、憧れの奏者を見つけて目標を設定しましょう。こんな音になりたい、この曲をこんな風に吹きたい、その思いがどんどん楽器を上達させます。
先述しましたが、自分が一番厳しい先生でいることは大切なことですが、成長している部分を見つけたら少しでも自分を褒めてあげてくださいね。
みなさんが素敵なフルートライフを送れますように。
ゆっふぃー
某音大卒業のフルート吹きです。普段は小さな会場で演奏活動を行ったり、教えたり、コンテンツ制作のお手伝いをしたりしています。 漫画が好きでほぼ毎日読んでいます。 使用楽器はムラマツの14k Gold(9k mech.) SRです。
コメント (0件)感想、指摘系はここに。相談は掲示板に。